需雲雜方

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需雲雜方について

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需雲雜方

著者
この本の著者は書体や筆体から見て2人の人物による著述であり、時間的な経過を伴って完成されたものであることがわかります。
 朝鮮時代 中宗王の時代、光山 金氏の密直副使公派 烏川君子里 贈戶曹參判 金綏(濯淸亭/號、1491~1555)先生と文貞公 金坽(溪巖/號、1577~1641)先生が韓国の伝統料理法について記した本です。
 一部、香辛料が使用された記録はありますが、唐辛子が使用された記録が全くないことから1600年代初めまでに完成されたものであることがわかります。
形態及び内容
需雲雜方は1500年代初めに記された韓国最古の調理書で、表紙を含み25枚から構成されており、大きさは横19.5cm×縦25.5cmです。
 この本は上下2巻からなる漢文筆写本で、上篇は行書、下篇は草書で記されています。
 表紙には『需雲雜方』、内表紙には(上篇)「濯清公遺墨」と(下篇)「渓巌先祖遺墨」と書かれており、序文と目次が別途に記されていない漢文で書かれた筆写本です。
 この本は著者である金綏先生の息子である金富倫(雪月堂/号)先生の14代宗孫である金永倬先生が所蔵していた本で現在は韓国国学振興院に寄託されています。
内容
この本の内容は総121ページから構成されており、前述したように書体と筆体によって1~86ページ(上篇)、87~121ページ(下篇)に分けることができます。
 上篇は酒醸法が41ページ、ククス(麺)の作り方1ページ、食醋(酢)の作り方5ページ、キムチの漬け方14ページ、焼酎コリ(蒸溜器)を作り方、醤(しょうゆ等)の製造法7ページ、麹の作り方2ページ、菓子の作り方1ページ、醤菜2ページ、種に関する内容が5ページ、その他の調理法7ページから構成されています。
 下篇は酒造法18ページ、ククスの作り方1ページ、キムチの漬け方3ページ、菓子の作り方2ページ、そしてその他調理法の11ページから構成されています。

需雲雜方

重要性
『需雲雜方』は韓国で最も古い料理本として朝鮮時代前期の食生活及び調理研究において非常に貴重な資料です。
 さらには当時、流布していた韓国をはじめとする中国の各種、料理本に出てくる多様な調理法が収録されていることから見て各種料理本を参考にして作成されたものと思われます。しかしながら単純に模倣するのでは各自技術を加味し巷に出回っている料理法や両班家門で日常的に活用している土着化した調理法なども記録しており、料理法の変遷や用語の変化、そして先祖の飲食文化に対する意識を知ることのできる貴重な資料だと言えます。
 現在までの研究から調理に関する専門的な文献は高麗時代まではなく、2001年に発見された宮中官医である全循義の『山家要録(1449)』が韓国最初の食品古典総合古農書として伝えられています。ただし『山家要録』が宮中官医が記録したものであるのに対し、一般人が記録したものでは『需雲雜方』がはじめてです。
 調理加工法が一朝一夕にはじまり無くなるのではないことを考えると、この本の内容は高麗時代末期から朝鮮時代前期にかけての一時代の調理法を推定し研究することの出きる貴重な資料として評価されています。
『需雲雜方』は単に食品調理史としてではなく国文学的にも貴重な本であり、酒造、キムチ、醤類、食醋類、野菜の貯蔵法(蔵菜)、材料の使用から調理、加工法にいたるまで具体的で事細かに記されており、当時安東を中心とした周辺地域の食生活の実体を今に伝えるだけでなく、韓国全体の食生活を推定することのできる非常に珍しく貴重な資料です。